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行政による規制緩和は今後、様々な分野で進められることになるでしょう。
そうなると競争優位となる企業、競争劣位となる企業がはっきりしてきます。
たとえば、すでにだいぶ前から国際競争が一般化している自動車、家電、コンピュータなどの分野では、日本企業が競争優位にあるものも多いようです。
世界中の多くの人が「ああ、あの企業」とわかるような、国際的にも認知されるブランドを持っている企業が、競争優位の地位を保つことのできる企業でしょう。
そうした差の大小はそれぞれ業界によっても異なってきます。
最初に述べたように、こうした業界ごとの格差は、法規制によって業界自体が国内、おこれまでほとんどの日本企業は、横並びであることが当然であるという、きわめて日本的な「非競争環境」の中で生き延びてきました。
多くの企業人はこうした状態が普通であると信じていたか、あるいはやがて変わる時が来るということを考えたくなかったように思えます。
国際的な競争から守られていた、あるいは、守られていなかったというところに起因するものであることは明らかです。
つまり規制によって守られていた業界ほど、規制緩和の進展によって、競争劣位となる企業が多くなるということです。
今まさにそうした状況にさらされつつあるのが金融業界です。
いわゆる金融ビッグバンによって、これまで日本の金融業界を外国企業から守ってきた様々な規制が撤廃され、自由な競争が開始されようとしています。
そして個人資産の総額においては世界一である日本市場を狙って、多くの外国金融企業が参入を開始しています。
このことは日本の金融企業にとっては企業間競争が激化することを意味しています。
あらためて言うまでもなく、競争劣位となる可能性の強い日本の金融企業にとっては、生死をかけた全面戦争の始まりです。
しかし日本の消費者にとっては、海外企業が参入することによって選択肢が広がり、よりよいサービスが受けられる可能性が増加することを意味しています。
消費者にとっては喜ばしいことなのです。
これまで規制の恩恵を受けて、ぎりぎりのところで何とか命をつないでいたようないくつかの金融業がすでに姿を消し始めています。
今後さらに規制緩和が徹底されてゆくのに比例して、こうした企業は増加することでしょう。
この厳しい時代を生き残るために求められている改革の一つが金融業界のeビジネス化です。
銀行に関して言えば、ユーザーとのオンライン取引という概念は、だいぶ以前から存在していました。
しかしそれは、企業など大口の取引先に専用の端末をおき、銀行と直接電話回線でオンライン化して行われるものでした。
端末は大きくて場所を取り、端末の操作は難しいので覚えるまでに長い時間のかかる、ユーザーフレンドリーとは言いがたい代物ですから、結局はオフィスの粗大ごみと化しているところも多いのではないでしょうか。
ところがここ数年のコンピュータの急激な普及によって、パソコンを端末とするオンライン取引の可能性が急激に浮上してきました。
さらにインターネットの爆発的な成長はオンラインを一つのライフスタイルとして確立しつつあります。
オンラインバンキング、オンラインファイナンスの時代が確実に近づいています。
金融業界のeビジネス化、特にデータ処理における業務の効率化という点に関しては、コンピュータ利用はすでにかなりの部分まで進んでいます。
今後の課題として考えられるのは顧客のコンピュータと結んだネットワーク化、つまりエンドユーザーとのオンライン化です。
オンラインによる銀行取引が便利であるのは当たり前のことですし、米国では実際に多くの銀行がオンラインサービスを提供しています。
その実例についてはこの章でいくつか紹介します。
そして日本の銀行の中にも一般消費者とのオンライン取引に積極的に取り組み始めたところもあります。
しかしここに重要な課題が残されています。
中長期的に見れば、日本でも大多数の銀行がオンラインバンキングを開始するでしょうし、多くの日本人がそのサービスを利用して、家庭や仕事場から出ることなく様々な取引を行うようになるでしょう。
でももう一つ考えなければならないことは、その時代にはリアルな店舗としての銀行は必要なくなるのか、ということです。
おそらくそういうことにはならないでしょう。
なぜならば、小売業においてオンラインショッピングがかなり進展しつつある現在の米国においても、リアルな店舗が消滅してしまう兆候はみじんもないからです。
それよりもオンラインバージョンをリアルな店舗を補完するものととらえている企業が、うまくいっているという状況が一般化しつつあるのです。
もしもそうであれば、オンライン時代のeビジネス化した銀行はどのように変わってゆくべきなのでしょうか。
この章ではそうした点も見ていきたいと思います。
銀行の対消費者取引のオンライン化を具体的にイメージするには、自宅あるいはオフィスにあるパソコンが、銀行のキャッシュディスペンサーの機能を持つようになったところを想像すればいいのではないでしょうか。
ただし、このキャッシュディスペンサーには現金を振り込むことができませんし、現金を引き出すこともできません。
現金の出し入れが可能となるまでには、デジタルキャッシュなどの電子マネーの実用化を待たなければなりません。
それには今しばらく時間がかかりそうです。
その一点を除けば、ほとんどの銀行取引がここから行えると考えてさしつかえありません。
この分野においても米国が先行しているのですが、たとえば米国CBの場合、個人口座向けのPCバンキングをダイレクトアクセス、ビジネス口座向けのものをビジネスアクセスと呼んで、それぞれ異なるシステムを構築しています。
ビジネスロ座の場合、専用のソフトウェアを使用して、同社のコンピュータと直接電話線で接続して取引可能となります。
このソフトはビジネスロ座を持っている人に無料配布されています。
アクセスポイントは800番の無料電話番号を含め、全米各地に用意されていますから、出張先からも型時間無料でサービスが利用できます。
個人口座の場合にはインターネット経由、ダイレクト接続のどちらかが選択できるようになっています。
しかもすでにインターネットへの接続環境を持つ人でしたら、専用のソフトも必要ありません。
128ビット暗号化機能を持つネットスケープをブラウザーとして使うことができます。
その方法はインターネットでCBのホームページにアクセスして、ダイレクトアクセスのアイコンをダブルクリック、画面に表示されるメニューにしたがって操作を行うだけです。
ネットスケープを使ったことのある人でしたら、問題なく、不安なく操作できるように工夫されています。
CBのビジネスロ座オンラインサービスの「ビジネスアクセス」にアクセスすると、モニター上に出てくる操作画面は、銀行におかれたキャッシュディスペンサーとほとんど同じような感覚で操作可能です。
少しだけ違うのは、上部にコンピュータらしいタィトルバーが表示されて、そこからより多くの操作メニューが現れることです。
よけいなグラフィックもないので、データのダウンロードも早く、たいへん使い勝手良くユーザーフレンドリーに仕上げられています。
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